【現状】飲食店の後継者不足、その手立てとは?

Lack of successors

飲食店の後継者が不足している

近年では飲食業界の人手不足、後継者不足が問題となっております。帝国データバンクの調査によると、80%の飲食店が人手不足を実感していて、飲食店が含まれるサービス業の後継者不在率は約7割を超えています。こうした飲食店の後継者不足問題は、個人だけの問題ではなく、国や地方児自体規模の問題として国はみており、国や地方自治体はこの問題を解決するための支援をおこなっています。具体的に説明すると、全国47都道府県に事業引継ぎ支援センターを設置し、事業承継について無料で相談が可能な公的な窓口を設けました。自社の譲渡の際に必要な手続の手順や自社の評価額、後継者の探し方、事業承継の際に必要な知識を入手できます。自分一人でなかなかうまくいかないことでも、国のサポートを受けられるとなればかなり心強いですね。設立された当初は成約件数が伸びないなどの問題もありましたが、徐々に成約件数を伸ばしています。
ではなぜそもそも飲食業界では後継者不足が問題となっているのかを以下で解説したいと思います。

  • 給料水準が他業種に比べて低い
  • 労働環境が悪い
  • 膨大な経費がかかると考えられる

給料水準が他業種に比べて低い

飲食業の給料水準は多業種に比べて低いことが後継者不足問題の原因の1つと言えるでしょう。飲食業の平均年収が480万程度に比べて、化学工業、金融、保険、不動産、建築業などはどれも平均年収が500万以上であり他業種に比べて、あまり稼ぐことが出来ない業種と認識している人が多いでしょう。

労働環境が悪い

また労働環境が悪いことも人気のない理由の1つでしょう。休業すると売り上げが発生せず、休日になったとしても、経理やメニュー開発などに時間をとられることが多いのです。そして土曜日、日曜日、祝日などの方が平日に比べて稼げるため、家族と時間が合わないことが多く、家族の理解が必要不可欠といえます。
また飲食業は基本的に長時間労働をしないと成り立ちません。例えば、営業時間が10時から22時までだとすると、これに加えて、仕込みや片付け等も仕事になります。立ち仕事であり、長時間労働、これは相当過酷な肉体労働といえるでしょう。

膨大な経費がかかると考えられる

店舗家賃、光熱費、人件費、原材料費、通信費、害虫駆除費用など様々な費用がかかり、売上のほとんどを経費に使用しなくてはなりません。売上の90%は経費に費やすともいわれています。また原材料費に関しては、飲食業なので食材が腐る、食材が余るなどのことも考えられます。食材が腐ったり、余ったりすると、お金を無駄にしていることと同じなので、何らかの工夫が必要となり管理が難しいともいえるでしょう。

2017年度の飲食店の倒産件数過去最多!

2017年度の飲食店の倒産件数過去最多を記録してある。8年間の飲食店全業種の倒産件数を以下で示す。

飲食店全業種の倒産件数 件数
2012年 685
2013年 631
2014年 629
2015年 573
2016年 557
2017年 707
2018年 653
2019年(1月~11月) 668
表1.飲食店全業種の倒産件数(8年分)
この表の2019年(1月~11月)の飲食店の倒産件数は11月時点で668件で、過去最多のペースで推移していて倒産件数過去最多である2017年を超えると予想されています。なぜ飲食店がこれまでに厳しい状況に置かれているのでしょうか。上記で述べた、飲食業界の後継者不足問題の原因に加えて以下の原因が挙げられます。

  • 高齢化
  • 消費税
  • キャッシュレス化

それぞれについてもう少し詳しく説明します。

高齢化

まず日本が少子高齢化社会であることが挙げられます。これは飲食業だけでなく、全業種に共通した原因だと考えられます。飲食店のオーナーが高齢で後継者を探そうといっても、日本はそもそも高齢者が多く、それに比べて若者が少ない国なので後継者が少ないことは不思議ではありません。

消費税

増税されたことも原因の一つだと考えられます。増税されたことにより消費者の節約志向は高まる一方で外食を控えて、中食や内食を選ぶ消費者が増加しています。また2019年10月に消費税率が10%に引き上げられ、軽減税率によって、デリバリーやテイクアウトは消費税率が8%に据え置かれたが、飲食店の店内で食事をすると消費税率が10%になったことなども客離れの要因であり、それが飲食店の景気に影響を与えていると考えられます。

キャッシュレス化

キャッシュレス化によって人々はキャッシュレス決済が可能な店へ足を運ぶ傾向が高まりました。味や接客だけでなくキャッシュレスであるかということもその飲食店の価値を上げる要因になったのです。キャッシュレス決済を導入していないお店にはあまり行きたがらない客も増え、今後飲食店はキャッシュレス決済のサービスを導入しなくてはならないでしょう。このサービス導入手続きが煩雑と感じている経営者が少なくともいることから後継者不足の原因であるといえるでしょう。

飲食店の後継者探しサービスが開始

飲食店の後継者不足が深刻な問題であることは述べましたが、これらの問題を解決するために、国や地方自治体や企業がさまざまな取り組みを行っています。以下で後継者探しサービスを2つ紹介します。

  • 事業引継ぎ支援センター
  • M&A総合研究所

事業引継ぎ支援センター

事業引継ぎ支援センターは上記でも述べましたが、国の委託を受けて、事業の後継者不在が進展する中、事業引継ぎ相談窓口として開設されました。後継者がおらずM&Aに関心がある、事業を後継者に渡す際にアドバイスがほしい方などに対して無料相談を行っています。事業の存続に不安を抱える中小企業の方に守秘義務を厳守し親身に対応していて、飲食店はもちろん、他業種の事業引継ぎの相談も可能なので気になる方は一度相談することをおすすめします。

M&A総合研究所

M&A総合研究所は後継者探しから成約まですべてサポートしてくれるサービスです。成約完了時に手数料が発生しますが、完全成功報酬制となっており初期費用がかからないとろこがメリットだといえます。またM&A仲介会社のなかでも仲介手数料の安さ、成約実績などを他会社と比較するとかなり安いのでおすすめです。フルサポートなのでM&Aの知識のない方でも安心して、後継者を探すことが出来るサービスとなっています。

大手飲食店が乗り出してきている事例

飲食業の後継者不足問題が大きくなるなか、後継者不足によって廃業する事態を防ぐために大手飲食店が動き出しました。カレー専門店チェーンを運営するゴーゴーカレーグループがM&Aに力を入れ始めました。全国のカレー専門店に対して事業承継を呼び掛けたのです。後継者不足のカレー専門店を承継することで、ゴーゴーカレーグループとしてはビジネス拡大を図り、2021年には店舗数142店舗、売上高53億円という目標を掲げています。
ゴーゴーカレーグループ(事業を譲り受けたい会社)はビジネス拡大というメリットがあり、事業を譲渡したい会社は、後継者不足問題を解決し、廃業を防ぐことが出来るというメリットがあります。このように、大手飲食店が他の飲食店をM&Aすることで、後継者不足問題を解決するという事例はいくつか存在します。

飲食店の後継者不足なら○○へ相談

飲食店の後継者不足なら後継ぎ問題の相談サービスに相談することをおすすめします。上記で述べた事業引継ぎ支援センター、M&A総合研究所に相談することもよいでしょう。後継ぎ問題の相談サービスに相談することのメリットを以下で解説します。

  • アドバイザーによるサポート
  • 圧倒的なスピード対応

アドバイザーによるサポート

後継者を探すうえで、後継者を探したことがないから不安、M&Aの知識がないから不安という方がいるでしょう。しかしこのようなサービスに相談することで、後継者探しから、成約まですべてを自分の要望に沿っておこなってくれます。またM&A知識だけでなく、会計知識、法務知識など豊富な担当者でサポートしているM&A仲介会社もあります。このように様々な知識を持った専門家にサポートされることで、希望価格以上の値段で譲渡ができたり、譲渡後の事業や社員のことを考えるM&Aが行われます。知識がない場合、後継者探しはできるだけM&Aアドバイザーなどの専門家のサポートを受けるほうがよいでしょう。

圧倒的なスピード対応

自分で後継者を探すよりも圧倒的なスピードで成約まで導いてくれます。自分で探すとなると、後継者が見つからないということもよくあります。通常、M&A会社に相談すると着手からクロージングまで平均6か月~1年以上かかります。しかしM&A総合研究所では独自のネットワークとマッチングシステムを利用して、少数精鋭で集中して動くため、平均3か月~6か月でクロージング可能です。このようにM&A仲介会社によって手数料の安さ、成約スピードなど力を入れているところは異なります。安さを求めている、早期契約を求めているなど
自分の要望に合わせて、サービスを選ぶとよいでしょう。

飲食店の後継者不足である理由、またその対策方法を具体的に解説しました。後継者不足は個人の問題ではなく、国の問題となっています。明るい未来を築くためにも、一人一人がこのような問題に関心を持つ必要

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