飲食店を居抜きで売却する!流れやメリット・造作譲渡契約まで

Unoccupied property

飲食店の経営がうまくいかず、お店を閉店するのであれば、居抜きで売却する方法があります。居抜き売却は、お店を引き渡そうとしている方にとってメリットが多い方法です。本記事では、飲食店の居抜き売却について紹介します。

1.飲食店を居抜きで売却する流れ

飲食店を居抜きで売却する状態とは、簡単に言えばお店の「原状回復」をすることなく、そのままの状態で次の借主に物件を引き継ぐと言う方法です。売却するためには、以下の手順に沿ってお店を売却していく必要があります。

1-1.契約書の確認

まずは、居抜き売却が可能な物件かどうかを確認するために、物件の契約状態を確認しておく必要があります。ここで確認すべきポイントは、貸主への予告期間内なのか、原状回復の義務はどのようになっているのかをチェックしてください。

原状回復する義務がある場合は、貸主と一度交渉する必要があります。しかし、素人が交渉をすると貸主との交渉に失敗してしまう恐れがあるので専門業者に相談をしましょう。原状回復義務以外でも、厨房器具の契約状態を確認する必要があります。
厨房機器をリースしている場合は、厨房機器を返却する必要があるのか、新しい借主・購入者に譲渡することができるのか確認するようにしましょう。

1-2.貸主の承諾

居抜き物件を売却したいのであれば、貸主の承諾が必要になります。契約書の内容として問題のない契約でも、貸主が承諾しなければ居抜き物件での譲渡が難しくなります。必ず居抜き物件での譲渡を勧める際は、貸主の承諾を得て次のステップへ移行するようにしましょう。

1-3.価格査定・希望者募集

専門業者に依頼をして、物件を調査してもらいます。この際価格査定をしてもらうだけでなく、譲渡先にどのような物品を引き渡せるのか、リストを作成してもらいます。価格査定で交渉が難航する可能性もあるため、専門業者選びは慎重におこないましょう。

その後、専門業者の査定後は購入希望者を募集します。業者が独自で購入者を募集するケースもあれば、ネットで幅広く購入者を募集するケースもあります。募集方法から最適な方法を選択して選ぶようにしましょう。

1-4.売却交渉

購入者が確定したところで、購入希望者と売却交渉をおこないます。直接購入者と交渉するケースはあまりなく、専門業者を介して交渉することになるので、売却がスムーズにいくような価格設定を心がけましょう。

1-5.購入者との契約締結

買主が確定したところで、貸主と買主を面会させ締結作業を進めます。ここまで進めば、居抜き物件譲渡も最終段階です。無事「造作譲渡契約」を結べれば完了です。造作譲渡契約については後ほど詳しく解説をします。
契約を結び、買主が「賃貸契約」を締結した後に、現在の借主は解約手続きをして居抜き物件を売却し譲渡することが可能となります。

2.注意点

居抜き物件で売却をする際には、下記の内容に気をつけて手続きをおこなうようにしましょう。

2-1.貸主に必ず許可を取ったうえで進める

居抜き物件を購入する人が確実に決まってから、貸主と交渉すると貸主の同意が得られずに、居抜きでの売却に失敗してしまうことがあります。居抜き物件を売却するのであれば、必ず貸主に許可を取った上で進めるようにしましょう。

2-2.購入者が見つからないこともあることを想定する

購入者が必ずしも見つかる保証はありません。立地場所によっては居抜き物件で売却しようとしても、購入希望者が見つからずに最悪の場合、原状回復工事をおこない撤退を余儀なくしなければいけないこともあります。
居抜き物件で売却を検討しているのであれば、本当に売却できる可能性が高いのかを検証したうえでリスクを回避しながら居抜き物件の売却手続きをおこなうようにしましょう。

2-3.タイミングを見定めて売却をする

最も理想のタイミングは、解約予告を提示する前に買い手を見つけることです。解約予告前から既に居抜き物件の購入者が見つかっていれば、最も高い価格で今の物件を売却することが可能になります。
最適なタイミングで売却するためには、事前の根回しが必要です。貸主に事前に連絡をするだけでなく、同時進行で買い手も探すようにしましょう。スムーズな撤退を実現するためには、常に撤退時のプランを練りながら売却手続きを進めるようにしてください。

3.飲食店を居抜きで売却するメリット

おおまかな流れを見ると、居抜き物件は手続きが面倒で売却するまでの工程で手間が多いと考えてしまう方もいます。しかし、メリットも多くあります。

3-1.原状回復費用が不要になる

店舗を貸主に引き渡す際、お店の状態をまっさらな状態にする「原状回復」が必要になります。原状回復をする費用は店舗規模によって異なりますが、小規模な店舗でも、30万円〜50万円程度必要になり、規模の大きいお店になれば、それ以上の費用が必要になります。
居抜き店舗であれば、原状回復をする必要がないため、費用をカットしてお店を引き渡すことが可能になります。

3-2.解約予告期間前に解除が可能

飲食店では、解約する旨を伝えてから解約をするまで賃料を支払う必要があります。お店は解約するために、無駄な家賃を支払う必要があります。しかし、居抜き物件であれば解約予告中に新たな契約者を見つければ、貸主は継続して家賃を取ることができるので、予告前に契約を解除することが可能になります。無駄な賃料を少しでも削減したいのであれば、居抜き物件売却が有利と言えるでしょう。

3-3.直前までの営業が可能

通常の契約では、原状回復作業が必要になるため、お店の営業を早めに切り上げる必要があります。しかし、居抜き物件では原状回復せずに新たな借主に明け渡すため、明け渡す直前までお店の営業を続けることが可能です。
直前まで営業ができれば、お店の売り上げをギリギリまで得ることが可能になるため、結果的にお店の撤退に関するコストを補填することが可能になります。

3-4.飲食店を居抜きで売却するときの相場、査定を上げるには

居抜き物件を売却する際には少しでも高くした状態で売却をしたいと検討している方が多いのではないでしょうか。売却する際の相場や、査定を上げるためにどのようなことが必要なのか紹介しましょう。
査定ではお店の第一印象が重要です。いくら立地の良い条件の場所にお店があっても、店内が汚れていると査定価格が下がってしまう恐れがあります。少しでも高くしたいのであれば、店内を清潔にして査定価格が高くなるように意識しましょう。
汎用性の高い厨房機器などを引き続き使えるのであれば、買取価格が必然的に高くなる可能性があります。大切なことは、相手の立場に立って売却計画を考えることです。魅力的な印象を与えるための工夫を心がけるようにしましょう。

4.業者選びを慎重におこなう

業者選びに失敗すると、無駄に時間とコストが必要になってしまい、結果として良い居抜き物件の売却が実現できなくなってしまう恐れがあります。特に、業者で注意が必要なのが、「買取専門業者」と呼ばれる業者に依頼をすることです。
買取専門業者に依頼をすると、想定していた金額よりも安い価格で買い叩かれてしまい、結果的に条件の悪い状態で売却してしまう恐れがあります。少しでも高い価格での売却を目指しているのであれば、買取専門業者に依頼するのではなく、居抜き物件を適正な価格で買い取る業者を選ぶようにしましょう。
買取業者の選定基準が分からない場合は、飲食店の居抜き物件の仲介を中心に展開している業者に依頼をするようにしましょう。

4-1.相場把握

譲渡額の相場を把握しておくと、買取業者が適正価格で買取を進めようとしているのか、そうでないのかを見分けることが可能です。地域の譲渡価格はネットで簡単に検索できるので調査するようにしましょう。例えば東京中央区の居抜き物件の平均価格は、287万.31万円です。場所によっては高くなるケースもありますが、平均よりも低い価格を提示された場合は業者が安く買い叩こうとしている可能性があります。
売却前に相場を調査し、業者の提示する価格が適正なのかを判断するようにしてください。
参考サイト
https://www.inshokuten.com/bukken/kanto/market/transfer/result/?regionKeyId=14

5.造作譲渡契約、造作譲渡料について

居抜き物件では、「造作譲渡料」「造作譲渡契約」という言葉を見かけることがあります。居抜き物件を売却する店舗は、内装を設計するために、内部の造作や装飾品にお金をかけて設計しました。
譲渡する際に、造作譲渡契約を結んでおくと、以前のお店の内装をそのまま引き継ぎ、次の買取先に引き渡すことが可能になります。造作譲渡契約が最も有効になる条件は同系統のお店を次の買取主が開業しようと検討しているケースです。このようなケースであれば、厨房機器、電話、レジスターなどの店舗の設備を造作譲渡し、手数料として「造作譲渡料」を受け取ることが可能になります。

造作譲渡料は、魅力的な居抜き物件の店舗に対し、支払われるもので権利金の一種とも捉えられることもあります。造作譲渡料をもらうことができれば、お店の撤退コストを軽減できるメリットがありますが、場合によっては買取先から譲渡料の金額について交渉されることもあります。

6.まとめ

居抜き物件を売却する際は、今回紹介したポイントに注意をしながら手続きをおこなうようにしましょう。成功するために必要なことはスムーズな手続きが出来るかどうかです。居抜き物件での売却を検討するのであれば、事前準備をしっかりおこなうようにしましょう。
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