居抜き物件で飲食店を開業するときのメリット・デメリット

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飲食店を開業しようと検討している方の中には、コストを少しでも抑えて開業を進めたいと検討している方もいるのではないでしょうか。そのような方におすすめの開業方法が居抜き物件を活用した開業方法です。本記事では居抜き物件について詳しく解説をします。

1.居抜き物件とは

居抜き物件とは、一体どのような物件を指すものか、詳しく紹介していきましょう。店舗探しをしている時に、「居抜き」と表示されているものが居抜き物件です。この物件は、通常の物件とは違い、次のような特徴があります。

1-1.設備や内装がそのまま

居抜き物件では、前の所有者が内装や設備をそのままにした状態で次の借主へと引き渡すので、借主は前の状態をそのまま活用することが可能です。
さらに、前の借主が設備をリース契約ではなく所有しているのであれば、借主はそのまま設備を使うことが可能です。

2.スケルトン物件とは

一方で、居抜き物件とは反対にスケルトン物件というものがあります。店舗探しをしているときは「スケルトン物件」もあるので、この言葉を覚えておくと良いでしょう。

2-1.設備や内装が残っていない

設備や内装がそのまま残っている居抜き物件に対し、スケルトン物件は、コンクリートの壁、柱だけ残ったいわゆる躯体(くたい)(床や壁、梁など建物の構造を支える骨組のこと)だけの物件のことを示します。
内装や設備が残っていないので、自分好みの設備に改装が可能になります。

2-2.スケルトン物件のメリットとデメリット

スケルトン物件は、設備や内装が全く決まっていないので借りた人は自分好みのレイアウトに店舗を変更できるようになります。
1から飲食店を立ち上げたいという方にはおすすめの物件です。

しかし、その一方でスケルトン物件では店舗設備の調達、内装の手配などをおこなう必要があり改装費用、設備投資で資金が必要になります。
さらにこだわった内装を検討しているのであれば、業者との入念な打ち合わせが必要になるため、場合によっては開業スピードが遅くなってしまう可能性があります。

飲食店の開業を初めて検討している方は、開業するための準備期間が想定よりも必要になってしまう可能性があるので、計画をしっかりと練りトラブルのないように入念に準備を進めておくように心がけましょう。

3.居抜き物件のメリット

居抜き物件のメリットはどのようなものがあるのでしょうか。居抜き物件を利用すると次のようなメリットがあります。

3-1.開業資金を安く抑えることが可能に

最大のメリットは開業資金を安く抑えることが可能になります。既存の設備や内装を活用すれば、新たに資金を投資する必要がないので、スケルトン物件よりも格段に安い価格での開業が可能になります。
飲食店の開業は店舗契約、設備投資、人件費などさまざまな分野で資金が必要で、開業後は収益が不安定な状態も多く資金を回収するための期間が半年後、1年後となってしまうことも珍しいことではありません。

しかし居抜き物件のような開業資金がもともと少ない物件を選んで開業をおこなえば、開業後に経営状態が苦しくても資金確保が可能になります。低リスクで開業を検討しているのであれば、居抜き物件を活用した開業を検討することをおすすめします。

3-2.間取りを考える必要がない

スケルトン物件の場合、内装工事前にお店のレイアウトを考える必要があり、実際に設計をしたものの想定していたものと違っていたというトラブルもあります。しかし、居抜き物件であれば既に内装が決まっているので、レイアウトを考える必要がありません。

さらに内見の段階から、カウンター、テーブル、厨房のレイアウトを事前に把握できるので、どの程度の規模でお店を開業できるのかを事前に考えることが可能です。間取りが既に決まっているため内装後の失敗がスケルトン物件に比べて低いという特徴があります。

3-3.すぐに開業ができる

設備や内装がある程度整っているので、スピーディーな開業も可能です。状態が良ければ1ヶ月程度で開業できる状態になることも可能です。設備投資への期間が少なくなれば、人件費、メニュー開発、宣伝活動に力を入れることが可能になるので、開業時の負担も少なくなります。

すこしでも早く飲食店を開業しようと検討しているのであれば、ぜひ居抜き物件を検討しましょう。

3-4.認知度がある

もともと飲食店の居抜き物件を引き継ぐのであれば、地元周辺の人たちからの認知度もあります。そのため宣伝活動をすればすぐに集客が期待できる可能性もあります。新規で開業する場合よりも認知度は居抜き物件の方が比較的高いことを考慮しておくとよいでしょう。

3-5.退去時の費用がかからない

契約内容によっては、そのまま退去することも可能です。原状回復が必要にならないので、低コストでの退去が可能になります。

4.居抜き物件のデメリット

さまざまなメリットがある一方で、デメリットも存在します。居抜き物件のデメリットとは一体どのようなものか、詳しく紹介していきましょう。

4-1.借主が修繕費用を負担することも

設備や内装の状態が悪い物件を借りると、借主本人が自ら原状回復をおこなわないといけません。設備が故障しているものであれば、借主自ら設備を新たに購入する必要があります。内装も同じです。壁や床の状態がひどいものであれば、内装業者に依頼をする必要があるため、結果的にスケルトン物件と同程度の費用が必要になってしまうことも考えられます。

居抜き物件を借りたら絶対に費用が安くなるというわけではなく、場合によっては借りた側が損をしてしまうこともあるので契約する物件は慎重に検討するように心がけましょう。

4-2.貸主の許可が必要

借りた店舗にある設備や内装を変更する際は、契約内容によっては貸主に許可を取ってからでないと自由にできないことがあります。
特に状態が良い調理器具などがある一方で、新規のお店に不要な設備を売却したいと考えている方は注意が必要です。勝手に設備投資にあるものを売ってしまうと貸主側とのトラブルに発展しまうことも考えられます。
居抜き物件にある設備や内装は借主が自由に融通することができないことも考えられるため注意が必要です。

4-3.イメージと合わない部分もある

お店の業態によっては、居抜き物件の内装やレイアウトと合わないことも考えられます。全く違う業態を検討しているのであれば、内装が自分の考えているお店とマッチしているのかを考えてから契約をおこなうようにしてください。

さらに、トイレの場所を変えたいと考えていても居抜き物件の場合レイアウト的に難しく、自分の理想としているお店のレイアウトではなく、前のレイアウトをいかに活用できるかという方向にシフトチェンジする必要があります。

安いという理由でイメージと合わない物件を借りても、レイアウトをどうするべきかで悩んでしまうことがあるので、必ず借りる前に今のお店とイメージが近いのかどうかを検討しながら契約準備を進めるように心がけてください。

4-4.前のお店のイメージが残ってしまう

メリットで前のお店のイメージが良い方向に働くとお伝えしましたが、一方で悪い方向に働いてしまうことがあります。
特に、前のお店のイメージが悪い場合、地元のお客さんが開業後に系列店のお店だと思い足を運ぶのをやめてしまう可能性があります。

このような物件を借りると、開業後の集客で苦戦を強いられる恐れがあるので、必ず店舗を借りる時は前のお店がどのような経営状態であったのかをしっかりと確認してから借りるように心がけてください。

5.トラブルを回避するために必要なこと

居抜き物件では、メリットもあればデメリットもあるので借りる側は慎重に検討をする必要があります。少しでもトラブルを回避するためには、どのようなことに気をつければ良いのでしょうか。ここからはトラブル回避に必要なことは何かについてご紹介していきます。

5-1.貸主との契約内容を事前に把握しておく

貸主と借主との間で認識のズレを生じさせないように、契約内容を事前に把握してくことも大切です。契約書には、設備投資の負担や設備を売却する際の注意事項などを細かく指定しています。

必ず目を通し、疑問やおかしいと感じることがあればすぐに貸主に相談するようにしましょう。トラブルを避けるためには、貸主とのコミュニケーションが大切です。貸主に許可を取ってからアクションを起こすということを徹底すれば、トラブルを回避することが可能になります。

5-2.設備の劣化状況を確認する

居抜き物件を借りる時は、設備の劣化状況を確認するようにしてください。契約前にどのような状態であるのかをしっかりと自分の目で確かめることが重要です。この作業を適当におこなっていると、トラブルに発展することがあります。

耐久年数が短い設備もあるので、使用年数と状態などをしっかり確認し、メンテナンスが必要となる時期を確かめてから劣化状況を確かめるように心がけてください。

6.後継者として開業する方法も

居抜き物件は良いところもあれば、悪いところもあります。トラブルを少しでも回避したいのであれば、居抜き物件にこだわるのではなく後継者として開業できる飲食店を探す方法もおすすめです。
後継者を探しているお店の中には、居抜き物件のようにレイアウトをそのままにしてお店を引き継げるだけでなく、経営者が貸主でもあるので、居抜き物件以上に柔軟な契約も可能になります。
居抜き物件で理想的な物件が見つからない場合や、トラブルを極力回避したいという方は、低リスクかつ低資金での契約が可能な後継者物件を検討するようにしてください。

7.まとめ

居抜き物件での開業を検討している方は、今回紹介したポイントを参考にして開業準備を進めるようにしてください。

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