飲食店向け物件でよく見る軽飲食、重飲食とは?

Heavy eating and drinking

開業準備を進めていく際に、「軽飲食向け」「重飲食向け」と表記をしている物件があります。重飲食と軽飲食の違いを理解していないと、契約後にトラブルになってしまい最悪の場合はお店の開業が出来ないこともあります。「軽飲食」「重飲食」はどのような違いがあるのでしょうか。

1.軽飲食、重飲食とは?その違いは?

そもそも軽飲食と重飲食はどのような違いがあるのでしょうか。それぞれの違いについて紹介していきましょう。

1-1.軽飲食

軽飲食とは、調理が少なくガスコンロなどを多用しない「飲食店」のことをさします。調理器具が家庭用のコンロを使用するお店も「軽飲食」に該当をします。
軽飲食として代表的なものが、カフェです。カフェの場合、サンドウィッチなどを提供することが多く、その際使用する調理器具といえば、家庭であるようなフライパン、鍋です。あまり調理せず、飲食を提供できるお店が、軽飲食と覚えておきましょう。

1-2.重飲食

一方で、重飲食は、業務用コンロを使い調理をおこなうお店が該当をします。重飲食には大きく分けて3つの業態があります。カレー、ラーメン、焼肉です。これらの料理は火力が強いだけでなく、匂いが強いものが多い傾向があります。
該当しないケースでも、中華料理店や天ぷら、とんかく屋なども重飲食に分類されることもあります。火力を使い、匂いが強いメニューが多い飲食は「重飲食」に該当すると考えておきましょう。

2.なぜ重飲食不可の物件が多いのか?

一見、飲食店の多くが重飲食に該当しているため、重飲食向けの物件が多いように思われます。しかし、実際には物件によって重飲食が不可としている場合もあり、条件がよくても重飲食なので契約を拒否されたというケースも珍しくはありません。なぜ、重飲食は嫌われてしまうのでしょうか。理由を詳しく説明していきましょう。

2-1.現状復帰・改装作業が大変

重飲食では、調理を頻繁におこなうため閉店後にスケルトン状態にする際、復旧作業に時間を要します。例えば、床や壁が油まみれになってしまっている場合は、一度清掃をするだけでは綺麗にならないことがあります。
場合によっては床の張り替えをおこなわなければなりません。現状復帰作業は借主が負担をするケースもあります。しかし、リフォームの期間が長くなってしまい、空き店舗期間が多くなってしまうことも考えられます。
現状復帰だけではありません。重飲食の場合、調理で出た煙を排出する設備はもちろんのこと、設計する際に必要な改装費用も高くなります。居抜き物件として貸し出しをしたとしても、次が同じ業態の飲食店でなければ、構造を1から変えなければいけないこともあります。
現状復帰作業が軽飲食に比べて大変なので、貸したがらない大家さんが存在していることを覚えておきましょう。

2-2.構造上貸し出しができない

費用を開業予定のオーナーが負担をしても、解決出来ない問題があります。構造上重飲食を開業できない場合です。
ビルを建設する際、電気、ガスはあらかじめこれくらい使うだろうと想定をして工事を依頼します。重飲食は、電気、ガスを通常のオフィス、家庭よりも多く使うので、無理に開業をすると、常にブレーカーが落ちてしまうことも考えられます。
容量を増やすために、ガスや電気の増設工事をしても必ずしも増設分の資金が回収できるとはいえません。さらに増設工事をオーナーが負担しても、全ての建物に対して増設工事ができるわけではありません。場合によっては構造上、工事ができずに断られることもあります。
ビルによってはそもそも開業が無理なケースもあるので、開業時には必ず確認をおこなうようにしてください。

2-3.建物に影響がある

構造上の問題をクリアしていても、物件の貸し出しができないケースがあります。その理由として、周辺地域に住む住民に与える影響です。
焼肉店、ラーメン店はどうしてもニオイや煙が発生してしまいます。場合によってはお店が開業したことで、洗濯物を外に干すことができなくなってしまう住民もいます。このような方がいる中で開業をすると、クレームがビルの管理人に行き、結果として開業後に閉店せざるを得ないことも考えられます。
条件を満たしているからといって、全ての重飲食店の許可が降りるわけではないので、注意が必要と考えておきましょう。

3.重飲食不可でも交渉次第でOKに!?

重飲食店不可としている物件でも、場合によっては交渉次第で借りられるケースがあります。どのようなケースで許可が下りるのでしょうか。重飲食店の交渉が可能なケースについて、考えていきましょう。

3-1.以前に重飲食店が入居している物件は使用可能

重飲食の出店がNGとしているお店でも、過去に重飲食店が入居している場合は許可が下りることがあります。物件が直前までどのように使われていたのかを調査しましょう。過去に使われていた物件が、重飲食のケースの場合、大家さんが特別に許可することもあるので諦めずに交渉をおこなうようにしてください。
しかし、全て交渉次第でOKになるわけではありません。物件の条件によっては、前の業態と同じ業態のみと指定をしていることもあります。交渉時には、どのような条件であれば許可が下りるのか確認をするようにしましょう。

3-2.使用する器具を説明する

大家さんの中には、周囲へのクレームから許可しないケースもあります。大家さんに使用する調理器具などを丁寧に説明し、安心させましょう。また、クレームが発生した際の対処方法を事前に提示することも大切です。
トラブルなく飲食店を安定的に経営できれば、大家さんも納得して貸し出す可能性があります。大家さんの不安を払拭することを心がけるようにしましょう。

3-3.インフラ設備が充実しているかどうか

容量不足で拒否をされてしまった場合は、使用する調理器具がどの程度の容量を使うのか、あらかじめ調べておきましょう。容量内でおさまるのであれば、貸し出しを許可することもあります。
ここで気をつけなければならないことが、嘘をつかないことです。契約時にはない調理器具などを投入すると、容量オーバーになりビル自体のブレーカーが落ちてしまうことも考えられます。
電気、ガスの容量オーバーで断られてしまった場合は、必ず設備に問題がないかをシミュレーションしたうえで交渉してください。

3-4.知り合いの大家に交渉する

仲介業者を通して、許可が降りない物件でも、知り合いということで物件の貸し出しをしてくれる大家さんもいます。知り合いであれば細かい条件面も直接交渉できるので、借りられる可能性が高くなります。
重飲食の物件が思うように見つからない方は、知り合いの大家さん経由で交渉し、開業準備を進めるようにしましょう。

4.物件探しで気を付けること

自分で物件探しをおこなう際には、以下のことに注意をして物件を探すようにしてください。

4-1.築年数の確認

必ずおこなうべき確認作業が、ビルの築年数の確認です。築年数が古い物件の中には重飲食を開業するための容量を十分に満たしていないことがあります。外装が綺麗でも、設備は古い状態のままというビルもあるため、必ず築年数を確認しましょう。
築年数を確認した後は、必ず電気、ガスの最大容量を確認し、開業予定の調理器具が不自由なく使えるか確認をするようにしてください。調理器具の容量が足りているのかどうかわからない場合は、レンタル業者の意見を聞くようにしてください。

4-2.重飲食店の入店履歴の有無

物件を確認する際に、過去に重飲食の入店履歴がないか確認をしましょう。直前の利用者が違う業態でも、過去に重飲食店の出店履歴があれば、出店を許可される可能性があります。直近の情報だけで判断するのではなく、過去に遡って調べるようにしましょう。

4-3.契約後に内容を変えない

軽飲食で出店したはずのカフェが、途中からこだわった料理を提供するようになり、重飲食のようなサービスを提供することもあります。このような形態の変化が大家さんに知れ渡るとトラブルになります。最悪の場合は営業停止をしなければいけない可能性があるので注意が必要です。
契約後に大家さんに話が違うと言われないためにも、必ず契約時に調理内容を説明しましょう。将来的に、メニューの幅を広げる可能性があれば、重飲食のような調理をおこなう可能性があることを伝えましょう。
大家さんと交渉をおこなう際は、口頭だけで説明をするのではなく、書面にして証拠を残すように心がけてください。

4-4.閉店情報を常に把握しておく

既に開業している飲食店の中には、閉店をこれからしようとしているお店もあります。事前に情報を把握しておくと、交渉しやすいだけでなく、入居できる可能性が高くなります。出店エリアの飲食店の閉店情報は常にチェックしておくようにしましょう。

5.物件がどうしても探せない時は…

出店を検討しているエリアに、理想的な物件が見つからないこともあります。出店エリアでどうしても、この地域で開業したいという方は、別のアプローチで重飲食を出店できるケースもあります。おすすめの方法が、後継者として既存店の引き継ぎをする方法です。
既に出店しているお店であれば、貸し出し面での条件をクリアしているので、大家さんに許可を取る必要がありません。
更に、既に集客が一定数あるため安定した経営も可能になります。低リスクで出店を検討しているのであれば、無理に出店候補地を探すのではなく、後継者を探している飲食店を探しましょう。

6.まとめ

開業前に、重飲食と軽飲食の違いを把握しておくことで、スムーズな物件探しを実現できるようになります。今回紹介したポイントに注意をしながら、物件探しをおこなうようにしてください。
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