(飲食店向け)人手不足の原因と対策

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飲食店で頭を悩ませる問題は、人手不足です。帝国データバンクのおこなった調査によると、アルバイトスタッフを中心に「人手不足」と回答したお店が80%にも及びます。
飲食店の人手不足を解消するためには、どのような対策をすべきなのでしょうか。飲食店の人手不足を解決する方法について考えていきましょう。

1.人手不足を放置しておけない理由

人手不足の状態を放置しておくと、飲食店の健全な経営が難しくなります。なぜ、健全な経営が難しくなってしまうのか、人手不足を放置した飲食店で発生する問題について紹介しましょう。

1-1.クレームが増える

人手不足の状態をそのままにしておくと、クレームが増える可能性があります。例えば調理スタッフを3名で対応していたお店が2名になると、3人分の作業を2人で分担しなければなりません。結果として3人で調理していた時よりも調理スピードは低下し、お客さんの中には「料理の提供が遅い」と不満を持つこともあります。

また、ホールスタッフが1人減った場合でも、同様の問題が考えられます。規模の大きい店舗であれば、1人あたりの作業量が増えることにより、ミスが発生する可能性が高くなります。ミスが発生すれば、クレームも必然的に多くなるため、お店のクレームが全体的に増えると認識しておくと良いでしょう。

1-2.従業員が離職する可能性が高くなる

人手不足に陥ると、従業員への負担が増えていきます。人手不足状態の環境で従業員が働き続けると、ストレスが溜まるだけでなく、他の職場の方が楽に働けるのではないかと考え、結果的に離職に拍車がかかる恐れがあります。

従業員が減少し続ければ、お店の運営に支障が出てしまい、最悪の場合はお店の経営そのものが難しくなってしまうことも考えられます。

1-3.経営が悪化する

人手不足の状態が続いてしまうと、クレームが増えることにより集客が低下するだけでなく、従業員の離職も同時に発生することが考えられます。集客が低下することによって、1日の売り上げが低下することが避けられない中で、更に新たな人材を確保するために求人を出すと追加費用が発生することは避けられません。

結果として、お店の赤字経営が続き、最終的にはお店を閉店しなければいけない状況に追い込まれてしまうことも考えられます。以上の点を踏まえると、人手不足はお店にとって良いことは1つも無いため早急に対処する必要があるものだと捉えましょう。

2.飲食店が人手不足になる原因

そもそも飲食店が人手不足に陥ってしまう原因は一体どこにあるのでしょうか。人手不足になる原因が何かを追求していきましょう。

2-1.労働環境の悪さ

最も考えられるものが、労働環境の悪さです。環境の要因には、給与、働き方、従業員の扱いが考えられます。

飲食店は多く存在し、お店ごとに時給が異なります。時給1000円が相場のエリアで、900円で雇っていれば、従業員の中にはもっと給与の良い場所で働こうと考える人も少なくないでしょう。

安い時給を解決すれば、人手不足が解消されるわけではありません。遅刻をしたらペナルティがある、急用や体調不良で出勤できなくなった場合は、自分で交代を見つけなければ無断欠勤にするといった、お店独自のルールなどで従業員に対する待遇が良くないと辞めてしまうスタッフが出てきてしまうでしょう。

従業員を「経営するための労働力」として捉えていると、従業員の離職率が高くなり、結果的に人手不足に陥ってしまう可能性があります。労働環境の悪い状態は、人手不足になる原因の1つとして覚えておきましょう。

2-2.出店地域の問題

労働環境を改善しているお店でも、人手不足になることがあります。例えば学生街と呼ばれる地域で飲食店をする場合です。

大学生のアルバイトスタッフを雇っていると、定期テスト、夏休み、卒業のタイミングで一時的に出勤できなくなってしまったり、一気に従業員が減ってしまったりすることも考えられます。

また、主婦の方を多く採用すると、年末年始などの営業時に出勤してくれる方が少なくなってしまう可能性があります。

従業員を雇う際は、学生、主婦、フリーターを偏りの無いように採用し、万全なシフトを組めるような対策をするように心がけましょう。

3.飲食店が人手不足解消にやるべき対策

人手不足を解消するために、飲食店はどのような対策をおこなえば良いのでしょうか。解消するための対策方法をいくつかご紹介しましょう。

3-1.働く環境を改善する

人手不足を解消するために真っ先におこなわなければならないものが、働く環境の改善です。無理なシフトを組む、相場よりも低い時給を設定しているのであれば、すぐに見直すようにしましょう。
また、休憩所は正しく使えているか、どうしても出勤が難しい場合に柔軟な対応をしているかなど、従業員目線に立った時に「働きやすい」と思うような環境を整えることも大切です。

働く環境が従業員にとって良いものになれば、学校の卒業や、家庭の事情による引越しなど、よほどのことが無い限り突然辞めてしまうことはありません。

働く環境を改善するためにも、お店のマニュアルが従業員にとって納得のいくものになっているか、ヒアリングをしながら改めるようにしましょう。また、従業員から不満を聞くことも大切です。

3-2.運営規模の改善

労働環境を改善しても、シフトがいつも万全であるとは限りません。特に、深夜に営業をする飲食店であれば、特定のスタッフが辞めてしまうと突然夜の時間帯の負担が増えてしまうことも考えられます。

さまざまな対策をしても、人手不足が解消しないのであれば、一時的に運営規模を縮小する決断も大切です。2021年よりJRが終電時刻を変更することが決まっています。今まで働けていたスタッフも、終電時間がなくなってしまう可能性があります。

従業員が本当に無理のなく働いているのか確認し、そのうえで運営規模の縮小も検討するようにしましょう。

3-3.ITツールの導入

人手不足を解消するために、ITツールを導入することも検討しましょう。例えば注文を聞き取るスタッフが不足している場合は、タブレット端末による注文にすることで、店員の負担を減らすことが可能です。また、タブレット端末を導入することで、注文の聞き取りミスも減るため、結果的にクレームを減らすことも可能にします。

注文以外では、会計をキャッシュレス端末にすることで、お客さんにQRコードを渡すだけで決済が完了するといった方法で乗り切ることも可能です。

ITツールの導入で効率化が図れる部分が必ずあるはずです。人手不足で生じている問題は何かを洗い出し、適切なITツールの導入を検討しましょう。

3-4.求人広告以外の採用方法を検討する

求人広告経由で採用をおこなっても、スタッフが定着しなければ、求人広告の費用が無駄にかかってしまいます。それでは、人手不足の解消はおろか、無駄な経費がかさみ、お店の経営はどんどん悪くなってしまいます。このような事態を避けるために、既存の求人以外の方法を検討しましょう。

例えば、既に働いている従業員に知り合いを紹介してもらうという方法もあります。しかし、ただ紹介してほしいだけでは従業員が呼びかけに応じてくれない可能性があるため、「紹介したスタッフが半年以上働けば、無条件で時給が上がる」といった独自の紹介システムを検討しておくことも大切です。

4.クラウドソーシングサイトの利用

最近では、飲食店のアルバイトのクラウドソーシングサイトが誕生しています。このサービスを利用すれば、お店の人手不足の時間帯にサイトに登録したスタッフが訪れ、その時間帯だけ勤務してくれるという便利なシステムです。このシステムを活用すれば、一時的に発生した人手不足を解消することも可能です。

一方で、通常の時給よりも高くなるというデメリットがありますが、人手不足によるクレームに比べると、最小限のコストで乗り切ることができるので、おすすめです。

5.人手不足によるクレームをなくすために取り急ぎできること

人手不足が発生した際に気をつけなければならないのが、お店へのクレームです。お店のクレームを少しでも減らすために、どのようなことができるのでしょうか。クレーム対応を紹介しましょう。

5-1.営業時間を一時的に調整する

サービスの質を維持するために、営業時間を一時的に調整して、従業員の負担を軽減する方法があります。お店の営業時間を減らすことで、スタッフが手薄な時間をなくすことあできるため、結果としてこれまでと同様のサービスを提供できます。

5-2.サービスの提供が遅くなることを事前に伝える

スタッフが不足している状態でお店を運営していくのであれば、来店時にサービスの提供が遅れる可能性があることを伝えましょう。そんなことを伝えるのは言いにくいかもしれませんが、意外と分かってくれるお客さんも結構いるのです。
お店に入る前にお客さんに説明をすれば、料理が遅いなどとクレームを言われる可能性が低くなりますので、事前に対処するようにしましょう。

5-3.予約客を受け付けない/予約客のみの対応に限定する

予約客と飛び込み客を同時に扱うと、予約客のコントロールと通常のお客さんへの接客をする必要があり、結果的に従業員への負担が増えてしまいます。

人手不足が解消されていない中で営業をするのであれば、一時的に予約を受け付けないなど工夫が必要です。お店によっては予約のみの対応にするなど限定をすることも出来るので、お店の方針に合ったものを選ぶようにしましょう。

5-4.従業員に説明をする

人手不足に陥った時には、従業員への説明も大切です。スタッフの人が辞めてもらわないためにも、採用はどの程度進んでいるのか、人手不足解消に向けた動きを説明してください。

5-5.人手不足用のマニュアルを作成する

人手不足の際は、通常の業務にはない作業を従業員がしなければならない状況が考えられます。落ち着いて対応ができるように、対応策を検討することも大切です。マニュアルを一度見直し、少しでも負担が減るような業務を検討してください。

6.まとめ

飲食店を経営していくうえで、人手不足の問題は切っても切り離せないものです。人手不足にならないように対策をおこなうことはもちろん、人手不足に陥ってしまった場合の対応方法を理解しておくことが大切です。

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