【脱サラ飲食店開業】退職と開業準備について

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飲食店の中には、脱サラをして飲食店を開業する方も珍しくありません。これから同じように飲食店の開業をしようと検討している方は、どのようなことに気をつければ良いのでしょうか。本記事では飲食店を脱サラして開業する際に気をつけるべきことを紹介します。

1.会社を辞める前から準備できること

脱サラをして飲食店を開業するのであれば、会社を辞める前から準備をする必要があります。会社を辞める前に準備をしっかりできているかどうかで、開業が成功するかがが決まります。以下のポイントに注意をして準備を進めるようにしましょう。

1-1.集客準備

飲食店の開業前に、集客をどのようにするのか集客方法を検討しましょう。ターゲットの選定はもちろんのこと、どのような業態にすれば良いかを集客準備段階で決定するようにしてください。

またSNSを活用して情報発信をするのであれば、開業する前からその準備段階の状況を発信することも集客には有効です。実際にお店がオープンする前から、お店を知ってくれている人やお店のファンの人がいるということは、オープン時の集客につながります。

1-2.リサーチ

開業する際には、出店場所を検討する必要があります。出店をする際には自分の開業したいエリアの調査をおこないましょう。リサーチをする際には、客層の把握、ピーク時の客の流れ、競合店の有無などを調べる必要があります。調査をして、競合店が多く集客が難しいと感じるのであれば、別のエリアを検討することも大切です。

リサーチを怠ると開業後に集客で苦戦する可能性があるので、慎重に出店候補地のエリアをリサーチしましょう。

1-3.業態の選定

退職前に、業態を選定しておくことが理想的です。業態を選定する際に大切なことは、「勝算のある業態」を選ぶことです。脱サラをして開業する人の中には、自分がこんなお店をやりたいという希望から業態を選ぶケースもあります。

しかし、業態によっては開業しても集客で苦戦してしまう恐れがあります。集客に苦戦をしなように、必ず業態を慎重に検討するようにしましょう。

1-4.開業日の設定

退職をする前から、開業日を設定しておくと、いつまでに何をすべきなのか具体的なスケジュールがはっきりするようになります。飲食店を開業する際は余裕のある準備期間が必要です。最低でも半年から1年は準備期間を設定するようにしましょう。

1-5.出店に必要な資格取得

飲食店開業に必要な資格がいくつかあります。飲食店開業の前に取得できる資格があれば、取得しておきましょう。特に食品衛生管理責任者などは開業時に欠かせない資格は早めに取得をすることをおすすめします。

2.退職と開業準備との同時進行の流れについて

退職と開業準備を同時進行で行いたい方は、下記のようなタイミングで準備を進めるようにしましょう。

2-1.退職のタイミング

現在の会社員の仕事と並行して、どの程度飲食店開業の準備が進められるかによって、退職のタイミングは異なります。また、退職後どの程度の期間を空けて、または空けないで飲食店開業を計画しているのかによっても異なります。

会社を退職して1年後に飲食店開業を目指すのであれば、退職後に準備を始めても1年後の開業は可能でしょう。しかし、退職後すぐの開業、もしくは半年以内の開業を考えているのであれば、会社員の仕事と並行して飲食店開業の準備が必要です。

そして、もう1つ考慮する点はお金です。これは、退職後どの程度の期間を空けて飲食店を開業するかという点とも重なる部分ですが、退職後、収入がゼロになるのであれば、飲食店を開業して売上が上がるまでの生活費を蓄えておく必要があります。
また、一般的に飲食店開業時にお金を借りる方は多いので、開業費用としての自己資金と開業までの生活費をきちんと計算しておく必要があります。
そのうえで、退職後どの程度の期間を空けて、または空けないで飲食店を開業するか決定する必要があります。

先に述べましたが、飲食店開業の準備には最低でも半年は必要です。お店で出すメニュー開発が思うように進まなかったり、希望どおりの物件がなかったりする可能性は十分に考えられます。現在の会社員としての仕事や自己資金の状況を判断し、余裕を持った準備期間を設定しましょう。

2-2.退職後にまずすること

退職後にすぐにやるべきことは、開業届を提出することです。開業届を提出していなければ、お店の契約や資金調達が難しい可能性があります。退職前は、内装業者の選定、出店場所のリサーチ、店舗契約の下見など、契約前にやるべきことを計画的に行い、退職後から本格的開業準備に取り組むようにしましょう。

2-3.店舗を決めるタイミング

理想的なタイミングは、開業前の2カ月前程度に店舗が決まっておくと理想的に開業準備が進みます。最初の1カ月で準備をおこない、残りの1カ月でオペレーションの確認など、運営する際に必要になる準備を進めるようにしましょう。

店舗を早く決めてしまうと無駄な家賃が発生してしまうため、3カ月後に開業できる店舗というイメージをしながら進めるようにしてください。

3.自己資金はどのくらい必要?お金は借りた方がいい?

脱サラして飲食店を開業する場合、開業資金はどの程度必要なのでしょうか。開業資金について検討していきましょう。

3-1.退職金を充てるべきかどうか

脱サラをする人の中には、退職金を自己資金にして開業準備を進めるケースもあります。しかし、退職金を活用するケースは、万が一お店を閉店させなければならない時に生活資金が無くなってしまいます。

退職金を全額充てるのではなく、万が一の時のお金として捉え、資金は別で確保するようにしましょう。

3-2.資金はピンからキリまで存在

開業資金は飲食店の開業方法によって様々です。300万円程度の安い値段で開業できる飲食店もあれば、内装費にお金をかけて1,000万円近くの資金を使い開業を進めるケースもあります。

開業する際は、開業資金をあらかじめ設定し、準備をするようにしましょう。あまり高い資金に設定をすると、リスクが高くなるため設定する際は、低資金で検討するようにしましょう。

3-3.日本政策金融公庫を利用する

資金を確保する方法として、銀行や信用公庫などに融資を依頼する方法もあります。しかし、開業間もない飲食店では融資が行われないことも考えられます。

新規事業者で資金を確保するのであれば、日本政策金融公庫を利用しましょう。日本政策金融公庫を利用すれば、低金利である程度の資金の確保が可能です。資金を借りるハードルが低いのでおすすめです。

3-4.補助金制度を利用する

出店するエリアによっては、新規飲食店や事業者に対してある一定の補助金を助成する制度を設けている自治体もあります。補助金制度を利用することで、家賃補助や内装費の一部費用負担など、開業するうえでの負担が軽減される可能性が期待できます。

開業をする際は、自治体にどのような助成制度が存在しているのかを確認するようにしてください。

4.脱サラで開業するのに、おすすめの業態

脱サラで開業をするのであれば、どのような業種が良いのでしょうか。比較的簡単に開業できる業態について紹介していきましょう。

4-1.カフェ

カフェは長時間営業が可能で、ビジネスマンからファミリー層までさまざまなお客さんを獲得できる可能性があります。しかし、お客さんの滞在時間が長く、客単価が低くなるリスクもあります。ディナータイムにお酒を提供すれば、女子会や歓送迎会で集客することも可能です。出店場所を検討し、さまざまな客層が獲得を目指すようにしましょう。

4-2.焼肉

焼肉は回転率が高く、高単価のお客さんを獲得することが可能です。また、肉の卸売の免許を取得すれば、生肉をお店で販売することも可能になり、イートインだけでなく、テイクアウトの需要を満たすことも可能です。

さらに、こだわりのお肉を提供するお店と認知されれば、より多くの方がお店に訪れる可能性があるためおすすめです。

4-3.デリバリー

コロナ禍により注目を集めている業態がデリバリーです。最近では、デリバリー事業をメインにしている飲食店や、配達専門のゴーストレストランも珍しいケースではありません。

デリバリー事業に特化するのであれば、厨房を確保するだけで運営が可能になるため、低コストでの開業も難しくないでしょう。低資金での開業を検討しているのであれば、デリバリー事業を視野に検討をしましょう。

4-4.おすすめしない業態

一方で、これから開業するにあたり、おすすめできない業種もあります。代表的なものが、ラーメン店です。ラーメン店は回転率が高く、利益率が高いように感じます。しかし実際は黒字にするためにはかなりの創意工夫が必要な業態です。今やラーメンは様々なお店が出店し、美味しくないお店はすぐにお客さんが来店しなくなります。

また人気エリアに出店をしても、既に競合店が多く、客が他のお店に奪われてしまう恐れがあります。ラーメン店を出店する際は、戦略を入念に検討し出店エリアを検討するようにしましょう。

一方で、タピオカをはじめとしたトレンドの業態にも手を出さないようにしましょう。トレンドの業態は、出店時には流行が終了している可能性も考えられます。出店をする際は、流行に左右されず、競争率の高くない業態を選ぶようにしましょう。

5.飲食店で修業した方がいい?

開業前に飲食店で修行をすべきかどうかで悩んでいる方もいるでしょう。修行は本当に必要なのでしょうか。飲食店の修行の必要性について考えていきましょう。

5-1.修行するメリット

飲食店で修行をするメリットとして、飲食店がどのように経営しているのか、仕入れ先はどのようにして開拓するのかなど、飲食店を開業するうえで必要不可欠なノウハウを知ることが可能です。

同じ業態であれば、開業前に問題点や集客方法を学ぶことが可能なので、何も知らない人は修行をすると良いでしょう。

さらに飲食店の中には、後継者不足で閉店を検討しているケースも珍しくはありません。後継者不足のお店で修行をすれば、後継者としてお店を引き継ぐことが可能になるため、結果的に低資金で自分のお店を持つことが可能になります。

5-2.修業するデメリット

一方で、デメリットも存在しています。修行といっても最低半年程度行う必要があり、実際に自分のお店を開業するまでの期間が長くなる可能性があります。また、修行するお店の中には、同じ業態の営業を禁止して契約するケースもあり注意が必要です。

どうしても飲食店としてのスキルを身につけたい、人気店のノウハウを見ておきたい、後継者として開業したいなど目的がない場合は修行時間が無駄になる可能性があります。修行をするのであれば、目的を持って修行をするようにしましょう。

6.まとめ

脱サラをして飲食店の開業を検討しているのであれば、戦略をしっかり練る必要があります。計画性のない脱サラの飲食店開業は失敗するリスクが高くなり、注意が必要です。開業を慎重に検討しましょう。

「飲食店のツナグ」では、開業予定の方に有益な情報を多数紹介しています。これから脱サラをして開業を検討している方はぜひ参考にしてください。