新しい生活様式に対応した飲食店での非対面・非接触の販売方法とは

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コロナ禍になりこれまでの飲食店のあり方が大きく変化しました。三密を避け、非接触・非対面の接客がスタンダードとなりました。本記事では新しい生活様式に対応した非対面・非接触について紹介します。

1.非対面、非接触での販売方法

新しい生活様式で飲食店に求められている販売方法は、お客さんと対面することなくサービスを提供するというものです。飲食店での非対面・非接触での販売方法はどのようなものがあるのか紹介していきましょう。

1-1.飛沫対策

密室空間になると、会話での飛沫防止対策が必要になります。これまでに飛沫防止対策をしっかりしなかった飲食店でクラスターが発生するなど、対策をしないと一時的に営業を停止しなければならないこともあります。コロナ禍が落ち着くまでは飛沫対策をしましょう。
テーブルの間隔を空けることはもちろんのこと、アクリルスタンドやビニールシートを設置してお客さん同士の飛沫が拡散しないような仕組みを作り、店内を安全な状態に維持できるようにしましょう。

1-2.パーテーションの設置

お客さん同士の飛沫対策だけでなく、従業員の安全を確保することも大切です。お客さんと店員が接触する可能性が高い場所では、必ずパーテーションを設置するようにしましょう。パーテーションを設置する際は、店員の表情が見えるように半透明のものを採用しましょう。

1-3.注文システムの変更

店員を呼び注文をするのではなく、タッチパネルで商品を注文する方式に変更する方法も有効です。端末にすれば、注文の際に店員と客が接触する機会を無くすことが出来、接触機会は商品を提供する時だけになるため接触回数を減らすことが可能になります。

一方で注文システムを変更する場合、お店のオペレーションを大きく変更しなければならない可能性があるため、導入コストが高くなってしまう可能性があります。事前に導入コストを検討するようにしましょう。

1-4.セルフ決済システムの導入

レジでの接触を避けるため非対面での会計システムを導入することも効果があります。以前からラーメン屋や定食屋では、食券を設置することで非対面での会計を実現しています。今後、飲食店を開業予定の方は、セルフ決済システムを導入して、非対面での会計を検討しましょう。

1-5.テイクアウト販売の実施

テイクアウト販売を実施することで、非接触・非対面の販売サービスが可能になります。お客さんがお店に取りに来てもらえるので、配達費用も必要ありません。一方で、テイクアウト販売を実施する際は、注文方法と受け取り方法を検討しておく必要があります。
テイクアウトを実施しても、三密の状況が出来てしまうと非対面・非接触の販売をしている意味がなくなってしまいます。

1-6.配達サービス

最も効果的な方法として挙げられるものが、配達サービスです。お客さんと接触するのは商品の受け渡しをする時のみで、それ以外は接触する機会がありません。
配達サービスは、非接触・非対面だけでなく、新規顧客を獲得できる飲食店としての新たな販売戦略としても期待出来ます。

一方で、配達サービスは委託業者へ依頼をすると手数料が高く、販売数をある一定数確保する必要があります。自社で配達をする際は、自転車やバイクの購入、専用の容器の手配など導入コストも高くなるため注意が必要です。
導入する際は、どのような方法が自分のお店にとって最適な手段なのかを検討した上で最適なサービスを選択するようにしましょう。

1-7.客の調整

飲食店はどうしても密集してしまうため非接触や非対面を実現するために、店内に入れる人数を限られたものにする方法も効果的と言えるでしょう。例えば、来店したお客さんに予約番号だけを渡して時間になったら来てもらうという方式です。

予約番号のサービスによっては、来店時間が近くなったらスマホに通知するシステムを導入しているお店もあります。店内が混雑しないような工夫をするようにしましょう。

2.他店舗での導入事例

様々な非対面・非接触の方法がある中で、飲食店が実際にどのような制度を導入しているのでしょうか。導入事例を紹介していきましょう。

2-1.配達サービスの導入

飲食店の導入で圧倒的に多いものが、配達サービスの導入です。配達サービスの中では、「Uber Eats」「menu」「出前館」などさまざまなサービスがあります。
配達サービスを導入することで、配達サービスのノウハウがない飲食店でもすぐに配達での提供が可能になります。一方で、配達サービスは都心部では活用できるものの、地域によってはあまり効果的ではないこともあります。
さらに、手数料が手数料が高いという問題もあります。低い手数料のサービスでも30%は売り上げから引かれてしまうので注意するようにしましょう。

2-2.決済サービスの導入

非接触型の決済サービスを導入するケースもあります。中国では当たり前となっているQRコードでの決済を導入しようとするお店も少なくありません。
しかし、便利なサービスとして導入をしても、お客さんの利用頻度が低ければ導入コストが高くなってしまい、無駄な費用が発生してしまう可能性があります。セルフレジシステムを導入する場合は、導入コストと効率性を検討するようにしましょう。

2-3.自動土産ロッカーという新しいテイクアウト方式

従来のテイクアウトでは、商品を受け取る際に店員と客が接触する機会がありました。いくら対策をしても接触機会があるため感染してしまうリスクがあります。この従来のテイクアウトの問題を解決するため、大手回転寿司チェーン店では、「自動土産ロッカー」という機械を設置しました。

オンラインで注文し、指定された時間に来店。スマホに表示されたQRコードを使い、QRコードをかざすと、専用のロッカーが開き商品を受け取るというシステムです。
同様の自動テイクアウトシステムは、少しずつですが導入がはじまっています。非対面・非接触を実現する便利なサービスである一方で、導入コストが高いというデメリットがあるため注意が必要です。

3.導入に必要な費用と補助金について

様々なシステムを導入する際にどうしてもコストが必要になります。コロナ対策で飲食店向けの補助金がいくつか提示されているものの、これらの補助金は全て営業を乗り切るためのものであり、導入に充てることは難しいと考える方もいるでしょう。そこで、導入するために役立てそうな補助金は、IT導入補助金です。

IT導入補助金では、新たな顧客獲得などによるITツールを導入すると、30万円〜450万円で助成を受けることが可能になります。
決済サービスや、注文システムをデジタル化しようと検討している場合は、補助金制度を利用するようにしましょう。

3-1.資金源を確保できない時に考えること

補助金制度を活用しても、導入コストが高くハードルが高いと感じてしまうことがあります。導入が難しい場合は自分の周りに助けを求めるだけでなく、SNSで助けを求めてみる方法も1つの選択と言えます。
クラウドファンディングを立ち上げてお店の新しいITサービスの導入に必要な資金を確保することも可能になります。どのようにして導入すべきか慎重に検討しましょう。

4.非接触・非対面サービスを実現するために気をつけるべきこと

さまざまな方法で、非接触・非対面サービスを提供することができる一方で、飲食店として気をつけなければならないこともあります。導入する際は、次のようなことに注意をしながら検討するようにしてください。

4-1.導入コストがかからない方法を検討

様々な便利なサービスがある一方で、導入コストが高く仮に導入しても飲食店の経営状態を悪くしてしまう可能性があります。繰り返しになりますが、導入コストのかからない方法を検討するようにしましょう。
導入コストが高いと感じているサービスがあれば、一旦導入をやめて別のアプローチで提供できないかを考えてみましょう。コストが安く、自分たちで出来るような方法を最優先で考え、導入すべきサービスは何が良いかを選定するようにしてください。

4-2.コロナ収束後を想定したサービスを導入

コロナが収束すると対策する必要性が無くなってしまうものがあります。導入できるものの中で、収束後も継続的にできるような対策に力を入れるようにしましょう。

例えば、デリバリーサービスや決済サービスは導入することで業務改善ができるだけでなく売り上げを伸ばすことができる可能性があります。
配達サービスでは、品質の高いサービスや商品を提供し続けることができれば収束後も利用者が減少する可能性が低いため力を入れるべきサービスと考えられます。お店にとって、コロナ禍が収束した後にどのようなサービスが有効なのかを想定しながら検討するようにしましょう。

4-3.飲食店での普及率を参考に導入を検討する

現在は、飲食店を救済するような様々なサービスが提供されています。現時点で導入したサービスの中には、今後普及率が悪くサービスが終了してしまうケースもあります。
導入後に後悔しないようにするためにも、加入するサービスや導入するものは慎重に検討しましょう。今すぐ加入する必要性が無いのであれば、普及率がある程度広まってから導入を検討するなどタイミングを見極めることも大切です。

4-4.オペレーションを検討し直す

オペレーションを見直すことで、非対面・非接触を実現することが可能なケースもあります。一度お店のオペレーションで非対面・非接触が可能になるものがないかを検討するようにしてください。

5.まとめ

コロナ禍に対応するため飲食店では「新しい生活様式」に合わせたサービスの提供が求められます。また、コロナが収束した後も引き続き飲食店のIT化は求められる可能性が高い状況と言えるでしょう。そのため、非対面・非接触の新たなサービスや販売方法の導入を積極的におこない、危機的な状況を乗り切るようにしましょう。

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