飲食店のM&A事情を網羅!事例や赤字経営で可能かなど紹介!

M & A

飲食店は競争が激しく生き残るための様々な戦略が練られています。その中でここ数年活発になっているものが、「M&A」です。本記事では飲食店のM&A事情を紹介します。

1.そもそもM&Aとは何か?

そもそもM&Aとは一体どのようなものなのでしょうか。M&Aとはある企業が別の企業を買い取り、企業力を高めるというものです。ライバル企業が同じ業種であれば、1つになることでより企業としての力を身につけることが可能になります。

買収には大きく分けて2つあると言われています。「友好的買収」と「敵対的買収」です。

1-1.友好的買収

友好的買収とは、その名の通り相手企業の同意を得ながら買収を進める方法です。友好的な関係を構築しておくことで、相手企業の従業員の流出を防ぎ買収後も相手企業と業務で連携が取りやすいという特徴があります。
一方で友好的買収は関係性を構築する必要があり、買収までの道のりが長くなるというデメリットがあります。更に相手の意向によっては買収が頓挫することもあるため注意が必要な買収方法です。

1-2.敵対的買収

一方で、敵対的買収は相手の企業の了承を得ずに一方的に企業を買収する方法です。友好的な関係を築く必要がないためスピーディーに相手企業を買い取ることが可能です。
しかし、相手企業が抵抗するケースや、失敗した時のコストなどを考慮するとあまり良い方法とは言えません。仮に買収が成功しても、相手企業の心証が悪く従業員が大量に流出してしまう恐れがあります。

2.飲食店の買収事情

飲食店ではどのような買収の動きがあるのでしょうか。一般的なM&Aとは異なり飲食業界にしか見られない動きもあるので、基礎知識として整理しておきましょう。

2-1.飲食店では買収が積極的におこなわれている

飲食店での買収活動は他の業種に比べて活発的におこなわれています。飲食店が別の飲食店を買収するケースも珍しくありません。
飲食店は、自分のお店だけで事業を拡大しようとすると、お店の利益を徹底に上げながら事業エリアを拡大していく必要があります。仮に事業エリアを拡大しても、今経営しているお店のノウハウが通用せず失敗してしまうこともあります。
そのため、失敗のリスクを回避しながら、コストを極力下げ、事業エリアを拡大する買収は最も有効な手段となり積極的なM&Aがおこなわれています。

2-2.周辺環境を確保するための買収も実施

飲食店で他のM&Aと最も異なる傾向は、「周辺環境を考慮したM&A」がおこなわれている点にあります。

通常の企業では周辺環境を考慮する必要はありません。しかし、飲食店では周辺環境によってお店の売り上げが大きく左右されます。例えば、同じエリアに同系統のお店が乱立していると、競合になってしまいお客さんを奪い合う事態に発展してしまいます。
お店の売り上げを一定数確保するため競合する可能性のあるお店を買収し、お店を改修することで自店舗の売り上げを確保するケースも珍しくはないと認識しておきましょう。

2-3.異なる業種の参入

飲食店は小規模・中小規模のお店が多く、資金力のある企業は簡単に買収することが可能です。
異業種の中には、自社サービスを強化するために飲食店の機能を獲得したいという観点から買収を検討するケースもあります。異業種による買収は同業種の買収に比べて自社のノウハウを活用できるため、企業風土を残しながらの買収が可能という特徴があります。

2-4.買収される側も積極的におこなっている

飲食店のM&Aでは、資金力の高い飲食店や別業種に対して買収してほしいと依頼するケースもあります。飲食店は他の業種に比べてお店を他の人に引き継ぐ事業継承がうまくできていないケースがあります。
M&Aをすれば、相手企業に自分のお店のノウハウをそのまま譲るだけでなく、引退後の生活資金として一定の資金を確保することも可能になります。そのため個人レベルの飲食店のM&Aはできると言えるでしょう。

3.飲食店をM&Aで買収するには?

では、飲食店がM&Aをおこなうことは可能なのでしょうか。結論から言えば可能です。飲食店のM&Aでは次のようなことに配慮しながら買収プランを計画しましょう。

3-1.友好的買収を前提に検討する

買収する際は友好的買収を前提に検討するようにしましょう。友好的買収を前提に進めないと、買収先の飲食店を買収しても従業員が流出してしまう恐れがあります。
従業員が流出してしまうと、新たな働き手を確保し、オペレーションなどを買収側がレクチャーする必要があり手間がかかります。
友好的買収をするのであれば業務のやり方も相手企業と話合いながら決めることができ、連携がとりやすいメリットがあります。飲食店がM&Aを検討しているのであれば、まずは友好的な関係でのM&Aを検討しましょう。

3-2.仲介会社を利用して進める

小規模の資金力のある飲食店が買収計画を進めても、最適な相手が見つからずM&Aの計画が頓挫してしまうことがあります。
相手企業を見つけるために、仲介会社を利用しましょう。最近では飲食店のM&Aを多く手掛けている仲介会社もあります。
仲介会社を利用することで、自力で探すことができなかった飲食店を探すことができるだけでなく、第三者が介入することで交渉を進めやすくできるというメリットがあります。M&Aの手順も熟知しているので、知識がなければプロに依頼をするようにしましょう。

4.M&Aは大企業のものだけではない

M&Aというと、大企業同士がおこなうものと考えられがちですが、飲食店では少し事情が異なります。実際には、大企業と個人店のM&Aが成立しているケースもあります。
最も代表的な例は、大手カレーチェーン店と地域密着のカレー店のM&Aです。金沢を中心に営業していたカレー店は、大手カレー店に事業継承をすることでお店の味を守りながらお店の営業を引き継いでもらうことに成功しました。
M&Aは企業が成長するための一方的な戦略と捉えることもできますが、飲食店の場合、後継者が見つからず閉店を検討している場合であれば、M&Aによってお店の閉店危機を救ってもらえる可能性もあります。
後継者の不在の飲食店はお店の歴史を閉じることを考えるのではなく、「M&A」によって事業を引き継いでもらえる方法を検討する方法も良いでしょう。
個人店でも黒字経営であればM&Aをする相手が見つかる可能性があるので、大企業や経営の良いお店しか依頼されないと考えないようにしてください。

5.赤字経営だとM&Aは無理?

M&Aをする際に、赤字経営の場合は買い取ってもらえないのではないかと不安になる経営者の方もいるのではないでしょうか。赤字でも買収をするケースもあります。赤字経営のお店を買収することで、買収先には、「節税対策」や「低コストでの買収」「有利な交渉ができる」など、さまざまなメリットがあるため依頼されることもあります。

しかし全てのケースでM&Aが成立するわけではありません。M&Aが成立するケースでは次のような条件が必要になります。

5-1.買収企業にとって何らかのメリットがある

赤字経営でも買収が成立する場合は、買取側の企業にとって何らかのメリットが必要になります。例えば、立地環境に恵まれ、将来的にも集客が期待できる場所にお店が出店しているというケースです。
現時点で立地場所が恵まれないという場合でも、数年後にタワーマンションなどが建設されるため今買い取っておくと将来的に有利であるといったメリットもあります。

5-2.魅力的なノウハウを持っている

赤字経営の飲食店でも、魅力的なノウハウを持っているのであればM&Aが成立する可能性があります。例えば、ここ最近で注目されているデリバリーと相性の良い商品を提供しているお店であれば、M&Aをしたい企業が声をかける可能性があります。
同業種では相手にされなくても、異業種によって声をかけられる可能性はあるので諦めないよう相手先を探すことが大切です。

5-3.経営状態が良くても買収されないケースも

一方で赤字ではない黒字経営の企業の中には買収が進まないケースもあります。たとえば、立地場所が将来的に赤字になる可能性が高い飲食店です。今のお店では買い取ってもらえない可能性があるためM&A先に買い取ってもらおうと検討しているのであれば、注意が必要です。

6.飲食店のM&Aを成功させるために必要なこととは

飲食店でのM&Aを成功させるために必要なことは、徹底したリサーチと友好的買収を成功するために時間をかけておこなうことです。
急いでM&Aをおこなうと失敗してしまう恐れがあります。成功させるためには最低でも半年程度の期間を設けて進めるようにしましょう。買収されるケースでも、相手をしっかり調査する必要があります。
買収先企業の方針によってはお店の風土を廃止しノウハウだけを奪うケースもあります。ノウハウだけ奪われると、お店がこれまで築いてきた歴史がなくなってしまうので注意が必要です。M&Aをどうしても成功させたい場合は自分たちで交渉を進めるのではなく、第三者のプロの力を借りて進める方法も検討するようにしましょう。

7.まとめ

飲食店のM&Aは日々積極的におこなわれています。今後は個人で経営する飲食店でも積極的にM&Aの話が多くなると予想されるでしょう。

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