飲食店の経理は自分?それとも税理士?飲食店の経理ポイント

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飲食店を経営する上で、料理やサービスの質を高めることは大切です。しかし、料理やサービス以外にも、お店を健全に運営するための資金繰りにも配慮する必要があります。面倒な経理はプロに依頼をした方が良いのでしょうか。本記事では、飲食店の経理について詳しく説明をします。

1.飲食店の経理とは?

飲食店の経理では、実際にどのようなことをおこなうのでしょうか。飲食店の経理でやるべきことについて紹介します。

1-1.経理のやるべきことを理解する

経理でやるべきことは、材料の仕入れ、人件費、売上高などさまざまな細かい勘定項目を記入して、経営が安定しているかどうかを確認することが主な作業です。
記入すべき項目は多岐にわたり、記入漏れが発生してしまうと経営状態が健全なものなのか、それとも間違っているのかを判断出来ないというデメリットがあります。

1-2.勘定項目とは

経理をする上では、勘定項目を明確に定めておく必要があります。勘定項目を明らかにすることで、「どこに」「どれだけ」費用が発生しているのかを把握することが可能になります。
経理で最も重要なことは、勘定項目をしっかり記入することです。個人店の中には、時間がかかってしまうためどんぶり勘定で経理をおこなってしまうケースもあります。

しかし、どんぶり勘定の場合、気づかないうちに経営状態が悪化していることも考えられます。経営状態が健全なものかどうかを把握するために、勘定項目はしっかりと明記しておくようにしましょう。
主な勘定項目として以下のものが挙げられます。

・売上
・仕入
・水道光熱費
・消耗品
・広告宣伝費
・家賃
・従業員の賃料
・自家用車のガソリン代、税金

あくまでここで紹介した勘定項目は大まかなもので、お店によってはさらに細かい勘定項目を設定しておく必要があります。

1-3.経理に必要な時間とは

経理作業に必要な時間はおおよそ1時間から2時間程度です。

しかし、慣れてくるまでは更に経理作業に時間が必要になってしまうこともあります。
経理作業をまとめておこなうことも可能ですが、日々の売り上げ、従業員への給料は変動するため、入力作業に時間が必要です。

また、毎日作業時間を確保すると、お店の運営と両立してやらなければならないため、アイドリングタイムに経理作業を行うなど工夫が必要になることを認識しておきましょう。

2.税理士に頼む場合のメリット、デメリット

経理作業が面倒に感じる場合は、税理士に依頼をして作業時間を短縮しようと検討している方もいるのではないでしょうか。
税理士に経理を頼む前に、メリット・デメリットを把握して導入すべきか検討するようにしましょう。

2-1.メリット1.手間を省くことができる

最大のメリットは、経理作業の時間をプロに依頼するため経理作業の手間を省き業務に集中出来るというメリットがあります。
小規模のお店であれば、経理作業を自分のタイミングで行うことが可能です。

しかし、規模が大きくなると従業員の数は多くなり、経理のための数値も大きくなり、計算の手間が増えます。
複数店舗を経営している方であれば、複数の経理を把握しなければならないため更に時間が必要になり、結果として飲食店のサービスの質、料理の質など、経営者が把握すべき項目を軽視してしまうことがあります。
無駄な時間で仕事の時間を取られたくないと考えているオーナーさんや開業予定の方は、税理士に相談するようにしましょう。

2-2.経営戦略を税理士に相談出来る

飲食店の経営方針を大きく変えたい時、税理士に依頼をしていると気軽に相談することが可能です。
飲食店の多くの経理に関わっている税理士に依頼をすれば、過去の経験から、飲食店の経営に関するアドバイスを受けることが出来ます。

開業前であれば、出店箇所の傾向や、設定すべき売上目標や、従業員の給料など出店に関する細かいアドバイスを受けることも期待出来るでしょう。

2-3.メリット3確定申告・決算が楽になる

経理を自分で行なっていると、確定申告や決算作業が必ずあります。
決算や確定申告は経理以上に膨大な時間が必要となり、事前に準備をしっかりしておかないと申告漏れになってしまうこともあります。
税理士に依頼をしていれば、確定申告を代理で行なってもらえるため作業時間が楽になります。
さらに、税理士は節税の方法を熟知しているので、自分で確定申告するよりも有利な状況で申告することが可能になります。

2-4.デメリット1.相談料が必要になる

税理士に依頼をすると、相談料が必要になります。
税理士によって費用は異なりますが、1カ月あたり3万円程度の費用が必要になり、決算時や確定申告時には更に費用が必要になります。
決算時には10万円以上必要になることがあり、1年の費用にすると、40万円〜50万円確保する必要があります。

小規模のお店の場合、年間50万円確保することが難しいことも考えられるため、依頼する際は慎重に検討することをおすすめします。

2-5.デメリット2.税理士によってアドバイスの質が異なる

良い税理士に依頼をすると、飲食店経営に関する相談など経営にプラスとなる情報を得ることが可能です。

しかし、飲食店の経営に熟知しておらずスキルが低い税理士に依頼をすると、アドバイスの質が悪く経営に全く活用出来ないことも考えられます。
悪い税理士に依頼をすると、費用が高く発生するだけでお店にとってはメリットを感じられないこともあります。依頼する際は、信頼出来る税理士なのかどうかを判断した上で依頼をするようにしましょう。
どの税理士に依頼をすべきか分からない場合は、飲食店に強い税理士かどうかで判断をしながら依頼をするようにしてください。

3.自分で経理をやる場合のメリット、デメリット

税理士に依頼をするのではなく、自分で経理をやる場合、どのようなメリットとデメリットがあるかを紹介していきましょう。

3-1.メリット1税理士に依頼する費用を考えなくて良い

自分で経理をやれば、税理士への相談料を抑えることが可能となるため、費用を抑えることが可能です。
費用を少しでも抑えたいのであれば、自力でやるようにしましょう。

3-2.メリット2経営状態を自分で把握出来る

税理士に経理を代わりにやってもらうと、毎月のお店の状態を細かく把握することが出来ないこともあります。

例えば、お店にお客さんが頻繁に出入りしているものの、粗利が低く利益が少ないケースです。
お店を運営していく中では、好調に見えるものの経営自体は赤字ギリギリと言うことも考えられます。
自分で経理作業をしていると、経営が不安定な状態をすぐに見抜き、お店の経営が不安定になる前に必要な対策を把握することが可能になります。

一方で、税理士に依頼をすると、経営状態の判断が鈍ってしまうことがあるので、依頼をする際は注意が必要です。

3-3.デメリット1.作業時間が必要になる

経理作業は、様々な情報を入力するだけでなく数値が正しく入力されているかどうかを確認していく必要があります。
結果として経営者の作業量が多くなってしまいます。
毎日のように経理作業をやらなければならず、その間お店の運営を誰かに任さなくてはならないこともあります。
時間をどのように確保すべきかを自分で行う際は、検討するようにしましょう。

3-4.デメリット2.相談出来る相手がいない

出店前に相談出来る相手がいないため、自分で全ての内容を決定していかなければなりません。
自分の打ち出した方針が間違っていると、場合によっては開業後すぐに経営が不安定になってしまうことも考えられます。
自力で経理をするのであれば、税理士のような経営面で客観的にアドバイスができるような人を探すようにしましょう。

3-5.出来ないところはプロに依頼をすべき

自分で経理をする際、慣れない作業はプロに依頼して自分でできるところは自分でやるという割り切りも大切です。

例えば、決算や確定申告など、作業量が多く、自分では手に負えそうにないものがあれば、プロに相談しましょう。
全てを自分でやるのではなく、難しいところはプロに任せて自分は出来ることをやるという考え方も大切です。

4.自分で経理をする方法

自分で経理をする方法と言っても様々です。自分で経理をする上で使えるツールを紹介しましょう。

4-1.会計ソフトを活用した経理

最近では、様々な経理を支援する会計ソフトが登場しています。
会計ソフトを活用することで必要な勘定科目を入力することで簡単に経理を行うことが可能です。
会計ソフトを購入して経理に役立てるようにしましょう。
どれにすべきか迷った場合は、ユーザーの口コミが多く評判の高いものを選ぶようにしましょう。

4-2.Excelを活用した経理方法

会計ソフトは価格が高く、お店によっては導入を迷ってしまうケースも考えられます。
導入が難しい場合は、Excelでの経理を検討しましょう。

Excelは互換性が高く、低価格で利用が可能です。最近ではGoogleが無料でExcelツールを提供しているため、無料で行うことも出来ます。
Excelを活用する際は、下記の項目をしっかり把握しておきましょう。

・フィルター機能
・ピボットテーブル
・関数(VLOOKUP、SUM、COUNT、IFなど)

特に関数は作業を効率化させるために必要不可欠なので、覚えておくようにしましょう。
Excelの基礎を知っていれば、比較的簡単な関数ばかりなので、手順を覚えてしまえば簡単に経理に必要な資料を作成出来ます。

しかし、Excelの知識がないと基本的な操作方法を覚えるところから始めないといけないため、可能であれば経理に特化した会計ソフトを活用するようにしましょう。

5.まとめ

飲食店を健全な状態で経営するためには、お店の正しい「数字」を把握しておくことが大切です。数字を把握しておくために、経理を自分でやるべきか、それとも税理士に依頼をすべきか慎重に検討するようにしてください。
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