定食屋を開業するときのポイントや注意点は

定食屋をこれから開業しようと検討している方は、どのようなことに気をつけて開業準備を進めれば良いのでしょうか。本記事では定食屋を開業する際に気をつけるべきポイントを紹介します。

1.定食屋開業に必要な資金

定食屋を開業するためには、お店の規模によって異なります。カウンターのみの少人数のお店でよければ500万円程度でも開業が可能です。一方でファミリー層向けのお店を検討しているのであれば、1500万円以上必要になるでしょう。
どの程度資金が自分の開業予定のお店に必要かわからない場合は、次のような基準でお店を検討しましょう。

1-1. 不動産取得費用

お店を開業するためには不動産物件を取得する必要があります。飲食店を取得する際は、家賃、保証料、仲介手数料が契約時に必要になります。
保証料や仲介手数料は不動産会社によって異なりますが、家賃の半年分が保証料、仲介手数料は家賃1ヶ月分という会社が多くあります。

そのため、家賃30万円の物件を借りようとした場合、200万円程度の費用が必要になることがあります。不動産取得費用がどの程度必要なのかを契約前にしっかり把握しておくようにしてください。

1-2. 内装費用

定食屋はコンセプトによって内装をこだわる必要があります。古くから営業している定食屋の中には、内装をまったくこだわっていないお店が多くあるので、新規開業のお店もそこまでこだわる必要がないと検討している方もいるでしょう。

しかし、実際新規で開業する定食屋はどこもこだわった内装をおこなっている場合が多くあります。コンセプトに沿ったお店として設計をするのであれば、内装費用も高くなることが考えられるので、どの程度の費用をかけるかは慎重に検討するように心がけてください。

1-3. 設備

定食屋は一般的な厨房で営業が可能です。その一方で、定食にふさわしいお皿のバリエーションを多くする必要があります。

さらに定食屋の中には、自動券売機を導入して効率化を図っているお店も珍しくはありません。自動券売機を導入しようと検討している場合は、設備投資が高くなってしまうデメリットがあるものの、人件費を削減できるため、導入前に必要かどうかを検討してから導入を検討しましょう。

1-4. 最もお金をかける場所によって資金が異なる

定食屋の場合、お店によってお金をかける場所が異なるので必要な資金が異なります。これから定食屋を開業しようと検討しているのであれば、どこにお金をかける必要があるのかを考えることはもちろんのこと、資金の優先順位を決めて経営を検討するように心がけましょう。

2.定食屋開業に必要な資格

定食屋は特に専門的な資格を必要としていません。しかし、飲食店を営業する場合は最低限取得しなければいけない資格があるので注意をするようにしましょう。

2-1.開業で必要な資格

開業時には、「食品衛生責任者」と「防火責任者」の資格が必要になります。

食費衛生責任者は、食材の衛生管理を担当する人のことを指し、飲食店を経営していくうえで必ず必要になる資格です。各保健所で講習を受けると取得が可能です。ただし、調理師の免許を持っている方は、この資格を取得する必要はありません。

防火責任者も同様、消防署で取得する必要があります。ただし防火責任者はすべてのお店で適用されるわけではありません。収容人数が30人以下のお店であれば、取得する必要がないので、お店の規模で必要かどうかを判断するようにしましょう。

2-2.営業許可

開業に必要な資格を取得したらすぐにお店を開業できるわけではありません。その後開業に必要な申請をおこなう必要があります。

最も重要な手続きは、食品営業許可申請です。この申請をしっかりしておかないと、定食屋として営業ができません。必ず営業許可を取得するようにしましょう。ただし、営業許可は申請したらすぐに降りるわけではありません。

保健所に図面を提出し、保健所の担当職員が実際にお店に訪れ検査をおこないはじめて許可が下ります。手続きには10日程度必要になることがあるので、店舗の内装が完成した段階で検査をしてもらえるよう段取りをおこなうようにしてください。

2-3.取得しておいた方がよい資格

他の定食屋と少しでも差別化したいと検討しているのであれば、管理栄養士、野菜ソムリエなど食に関する資格を取得してアピールするようにしましょう。実際に、健康的な定食メニューを提供するお店や、有機野菜などの食材選びにこだわった定食屋など定食屋によって特徴を持っているお店も珍しくありません。

余裕があれば、食に関する資格を取得して他店と違うことをアピールするようにしてください。

3.定食屋は儲かるのか?

そもそも定食屋は儲かるのでしょうか?老舗の定食屋が軒並み閉店していく中で、新規で定食屋を開業しても、生き残りが難しいと悩んでしまう方いるでしょう。しかし、やり方を考えれば定食屋としても儲かることが可能です。どのようなやり方をおこなえば儲かるのか、具体的な例を紹介しながら儲かる仕組みについて紹介しましょう。

3-1.未来食堂の成功例

東京のオフィス街でもある神保町で、他の定食屋にないコンセプトで成功している「未来食堂」というお店があります。このお店は、店長1人でお店を回しています。定食屋としては12席と少なめ。しかし、ピーク時に1人で営業するのはかなり難しいと考えるでしょう。

このお店では作業を効率化するため、定食のメニューを日替わり定食1種類に絞っています。そこから追加で小鉢を追加することは可能ですが、2品までと制限があり、1品につき400円追加するというサービスを採用しています。

3-2.未来食堂の手がけるサービス内容

それだけではありません。このお店では自分好みの味付けで定食を作ってもらうことが可能です。普通のお店では1人1人に対して味を変えるサービスをしているところは珍しく、普通では考えられないことを可能にしています。

さらにこのお店では「まかない」「ただめし」という独自の制度があります。これは、来店したお客さんがご飯を無料で食べたい場合に「まかない」という制度で50分働くことで1食無料になるというサービスです。このサービスを成功するために、マニュアルをしっかり作成し、どのような人でも作業ができるよう効率化が徹底しています。

仕事をして寄付をしたければ、「ただめし」としてお店に寄付をします。ただめしはお店にやってきた人が利用できる券です。このようなサービスがお客さんに受け、多くの人が足を運んでいます。

3-3.コンセプトで成功するケースも

このように定食屋として成功をしているお店もあります。しかし成功するためには、普通の定食屋のような方向性で営業をはじめても失敗してしまう可能性があります。

成功したいと検討しているのであれば、未来食堂のような他にはないコンセプトで開業すれば成功するでしょう。特に最近では、美味しさとプラスアルファでお店に何らかの付加価値を求めている場合が多くあります。開業時には、どのようなコンセプトのお店を開業するか、運営方法はどのようにするか検討したうえで開業するようにしてください。

3-4.コンセプトが思いつかない時は

とはいえ、画期的なコンセプトをすぐに思いつくことはできません。そのような時は、お客さんが一体どのようなことを求めているのかを考えてからお店を開業するようにしましょう。

ここで最も重要なことは、お客さん目線で考えることです。どのような定食屋があったら自分なら足を運びたいのか考えて検討するように心がけてください。

4.他の飲食店と比較して定食屋を開業するメリット・デメリット

定食屋他の飲食店と比べてメリット・デメリットはどのようなものがあるのか、メリット・デメリットを紹介していきましょう。

4-1.メリット1 小規模でも開業が可能

定食屋は他の飲食店と比べ小規模から開業が可能です。低コストでお店の開業が可能なので、資金が十分に確保できないという方でも開業できるというメリットがあります。

4-2.メリット2 固定客を作りやすい

ビジネス街、学生街などエリアを絞り開業すれば、固定客を作りやすいという特徴があります。ビジネス街などで認知されれば、人気店になる可能性もあるので、立地場所を慎重に検討するようにしましょう。

4-3.メリット3 テイクアウトメニューも可能

ランチタイムでより効率的に営業したいのであれば、テイクアウトメニューを作り販売することも可能です。お店で提供するメニューとほぼ同じ内容のメニューをテイクアウトメニューとして販売できるので、オペレーションも比較的簡単にできるというメリットがあります。

4-4.デメリット1.営業時間が短い

デメリットとして、営業時間が短いというデメリットがあります。定食屋として稼ぐ時間帯は昼の時間帯です。夜の時間帯は営業していても、お客さんがあまり訪れない可能性があります。そのため、短期集中でいかに効率よく稼ぐことができるのかを考えて営業するように心がけましょう。

4-5.デメリット2.周辺環境に影響されやすい

立地の良い場所と思い、出店しても、オフィスビルの移転などが発生した場合、一気にお客さんが減ってしまい、経営が悪化してしまうということもあります。さらに、周辺にオフィスビルや、ショッピング施設ができると同様のことが考えられます。

必ず開業する前に周辺環境がどのようになっているのかを調査するようにしてください。その際、長期的に経営できるのかどうかも検討するようにしましょう。

4-6.デメリット3 差別化が必要

定食屋として生き残るためには差別化が必要不可欠です。どのようなサービスを提供するべきかしっかりと検討して開業しましょう。差別化をしない状態で開業しても、お店にお客さんが訪れない可能性があります。

このような事態にならないよう、しっかりと自分のお店はどのようなサービスを提供できるのか、他の定食屋とどのように違うのかを検討してください。

5.まとめ

これから定食屋を開業する際は、未来食堂のような独自のコンセプトなどを打ち立てながら、開業準備に取り組むようにしてください。

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