飲食店を閉店するときの費用はどの程度必要?〜知っておきたい飲食店の閉店費用

closed

飲食店を止むを得ない事情で閉店するという方の中には、閉店に必要な費用はどの程度かかるのか把握をしておきたいという方もいるのではないでしょうか。本記事では飲食店を閉店する際に必要になる費用について紹介します。

1原状回復工事について

契約していた物件を管理会社へ返却する際、原状回復工事が必要不可欠になります。原状回復工事にはどの程度必要になるのでしょうか。
お店の状態によるものの、床の汚れの除去はもちろんのこと、その他に厨房と客席の仕切りの除去、カウンター、収納棚などの造作物を取り除き、何もないいわゆる”スケルトン”にする必要があります。

一般的なオフィスビルに比べて飲食店の劣化は激しくなるため、原状回復の費用も高くなってしまいます。原状回復の費用は1坪あたりの単価で決まります。

お店によって費用が微妙に異なるものの、20坪程度の物件であれば、1坪あたり2~4万円、30坪程度であれば1坪あたり5~7万円、50坪なら1坪あたり8~10万円程度になります。
依頼する業者によって費用感が微妙に異なることもあるので、業者と入念に打ち合わせをして、原状回復工事を依頼するように心がけてください。

1-1.計画性のある原状回復工事依頼を

こだわった内装を設計しているお店や、油汚れなどがひどく原状回復するための作業時間が必要以上に確保しなければならないケースもあります。
引き渡し日の段階では原状回復工事を終えておかなければならず、このときに何もない状態にしておく必要があるため、必ず逆算をして間に合うよう業者に工事を依頼するように心がけてください。

大切なことは閉店スケジュールと費用感を事前に把握しておくことです。打ち合わせをしっかりしておけば、トラブルに発展してしまうケースを回避できるようになります。

一方で、閉店後に業者探しをして打ち合わせをすると、原状回復工事が遅れ、最悪の場合は引き渡し日に原状回復ができておらず、管理会社に違約金を支払わなければならないというケースも考えられます。
このような事態を回避するために、事前に業者と打ち合わせをするようにしてください。

1-2.見積書を作成してもらう

原状回復に必要な費用を少しでも抑えるためには業者に見積書を作成してもらうことも大切です。業者の中には見積書を作成せず、費用だけを伝える業者もいます。
このような業者に原状回復工事を依頼すると割高の費用になってしまう可能性があります。

このような事態を回避するために事前に費用を把握し、業者がいい加減な原状回復工事をしないかチェックしましょう。
さらに複数の業者に見積もりを依頼する相見積もりをおこなうことで、他の業者の費用感も把握でき、その中から業者を選定できるようになります。

原状回復工事はどこでも良いわけではなく、少しでも安く費用を抑えるために慎重に業者を選定するように心がけてください。

2.空家賃について

飲食店を閉店した後にすぐに原状回復をして契約した店舗をすぐに返却できるわけではありません。
契約内容によっては、引き渡しまでの3ヶ月前に連絡をする、6ヶ月前までに申告するという「解約予告期間」という決まりがあります。

そのため、経営状態が悪化して閉店をしようと検討し閉店しても、解除予告期間までお店の家賃を支払う必要があります。
場合によっては閉店後に無駄な家賃を支払わなければいけないことがあるので、注意が必要です。
空家賃を少しでも抑えるためには次のような方法でおこなうと極力家賃を抑えることが可能になります。

2-1.解約予告期間中も営業する

解約予告期間中もお店を営業し、少しでも家賃を支払うための対策をおこないましょう。
このとき注意をする必要があるものは、原状回復工事に必要な工事期間です。原状回復工事はお店の状態によって工事期間が異なります。
工事期間がどの程度必要なのかを計算したうえで閉店日を設定しましょう。

2-2.居抜き物件の交渉をする

空家賃を少しでも抑えたいのであれば、他の費用を抑えること空家賃分に補填するという方法も可能です。
管理会社と相談をして居抜き物件として譲渡できるのであれば、居抜き物件での譲渡も検討しましょう。
居抜き物件にすれば、原状回復工事が必要にならなくなるため、その費用分を解約予告期間の家賃として補填が可能です。そのため場合によっては閉店日を早めても家賃分の費用を捻出することが可能になります。

しかし、居抜き物件にする方法は管理会社との契約段階でできないケースもあります。
必ず契約時に解約時にはどのようなことが必要になるのかしっかりと検討してから契約を交わすように心がけてください。

3.厨房機器や備品など売れるものについて

閉店費用を少しでも浮かせるために、使用している設備の中で売却できるものは積極的に売却をするように心がけましょう。

特に状態のよい厨房機器や備品は業者に売却をすれば高値で取引が可能になり、費用の一部に充てることも可能です。しかし、中古品を買い取ることになるため、思った以上の値段にならない可能性があります。廃棄処分をするよりも良い方法という考え方で売却をするように心がけてください。

3-1.居抜き物件で譲渡するなら設備も良い状態にする

居抜き物件として引き渡そうとしているのであれば、厨房や備品なども居抜き物件の価値となるので、しっかりとメンテナンスをしておくように心がけてください。

状態の悪い状態で居抜き物件として次の借主を募集しても、すぐに借り手が見つからず、無駄な家賃を支払わなければならない可能性があります。
1日でも早く売却するためには設備状態もしっかりとケアをして準備をおこなうように心がけてください。

3-2.売却前にリース品リストを作成する

飲食店の設備の中にはリース品もあります。どのような設備をリースしているのかしっかりとリストを作成するようにしましょう。
リース品の中には、解約料金が必要になってしまうこともあります。このようなトラブルを回避するために、リース品をしっかり仕分けたうえで売却を検討するように心がけましょう。

4.閉店費用を少しでも抑えるために必要なこと

閉店を検討している場合、家賃・原状回復費用が必要不可欠になります。
これらの費用を少しでも抑えるために、どのようなことに気をつければ良いのでしょうか。費用を少しでも抑えたい方は次のことに注意をしてください。

4-1.契約書の確認

少しでも費用を抑えるためにはお店を管理する大家さんや管理会社との連携が必要です。
お店をやめたいと検討して大家さんにその旨を伝えても、場合によっては違約金が発生することもあります。
特に居抜き物件で引き渡しを検討しているのであれば、原状回復をどの程度おこなう必要があるのか、家賃はどの程度負担しなければならないのか契約内容によって変わります。

また、スケルトン物件として原状回復をおこない返却する方法でも、いつまでの管理会社に解約する旨を伝えなければならないのかを確認しておく必要があります。

管理会社との認識のズレがないよう事前に契約書の内容を熟読してから閉店計画を作成するように心がけてください。

4-2.事前に計画を立てておく

開店準備と同様、事前に計画を立てておくことも閉店費用を抑えるためには大切です。
閉店をしなければならない状況になった段階で、どのタイミングで閉店準備に移行するのか計画をしましょう。
経営が悪化してから閉店計画を立てると、原状回復業者の選定に失敗してしまうこともあります。

このようなトラブルを回避するために、事前にどのような業者に依頼をするか、管理会社に連絡をするデットラインはいつなのかなどを確認するように心がけてください。

4-3.閉店費用を最も少なくする方法

閉店費用を極力無い状態にしたいのであれば、閉店計画を考えるのではなく後継者探しをしてお店そのものを譲渡するようにしましょう。
後継者に経営権を譲ればお店を閉店する必要もなくなり、原状回復費用や空家賃の発生を回避できるようになります。

特に経営状態が赤字でお店をこれ以上営業しても赤字になるだけという方ではなく、お店を続けたいが続けることが難しくなったというお店は後継者探しを検討しましょう。

後継者がすぐに見つかればすぐに経営を引き渡せるだけでなく、条件によっては譲渡金を受け取ることも可能です。
ただし管理会社からお店を借りている場合は、管理会社の合意が必要不可欠になるので、必ず契約書の内容を確認し、管理会社と相談をして後継者探しをおこなうようにしましょう。

5.後継者仲介サービスへ登録を

後継者を探すことで費用を抑えようと検討しているのであれば、後継者を探す必要があります。
有名店であれば、後継者探しも難しいことではありません。しかし、そうでなければ後継者探しがうまくいかず、結果的に閉店に必要な費用を負担しなければならない状態も考えられます。

このような後継者を見つからない事態を回避するためにオススメの方法が、後継者希望者とお店を仲介するサービスの登録です。
このようなサービスに登録をすれば、後継者をプロが変わりに探すので、簡単に後継者を探すことが可能になります。

後継者探しをするための時間を確保できない場合は、このようなサービスに登録し業者に後継者を探してもらいスムーズな引き渡しを実現させるようにしましょう。

6.まとめ

お店を閉店しようと検討している方は、原状回復に必要な費用、家賃などがどの程度必要になるのかを事前に把握したうえで取り掛かりましょう。
少しでも安く抑えたい場合は閉店を考えるのではなく後継者探しをすることも大切です。どの方法がお店にとってベストなのかを考慮して計画してください。

「飲食店のツナグ」では後継者と後継者を探しているお店の求人を多数掲載しています。これから後継者を探したいと検討している経営者の方はぜひ当サイトをご利用ください。皆様のご利用を心よりお待ちしております。